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東京地方裁判所 昭和51年(行ウ)65号 判決 1977年10月27日

東京都府中市浅間町三丁目一七番一号

原告

渡邊忠三

東京都府中市分梅町一丁目三一番

被告

武蔵府中税務署長

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被告

右代表者法務大臣

福田一

被告両名指定代理人

持本健司

真庭博

小野政一

下山幸男

小林守

田村眞太郎

主文

1  原告の被告武蔵府中税務署長に対する訴えをいずれも却下する。

2  原告の被告国に対する請求を棄却する。

3  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告武蔵府中税務署長が原告の昭和四七年分所得税について昭和五〇年一月三一日付でした更正及び過少申告加算税賦課決定並びに同年六月三〇日付でした再更正及び過少申告加算税賦課決定をいずれも取り消す。

2  被告国は原告に対し、昭和五〇年一一月二八日から被告武蔵府中税務署長が同月二七日付で原告所有地についてした差押えを取り消す日まで、一日につき金五〇〇〇円の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決

二  被告武蔵府中税務署長

1  本案前の申立て

主文第一項同旨及び訴訟費用は原告の負担とするとの判決

2  本案についての申立て

(一) 原告の被告武蔵府中税務署長に対する請求をいずれも棄却する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

との判決

三  被告国

主文第二項同旨及び訴訟費用は原告の負担とするとの判決

第二原告の請求原因

一  原告の昭和四七年分所得税について、原告のした確定申告、これに対して被告武蔵府中税務署長(以下「被告税務署長」という。)のした更正(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件第一の決定」という。)並びに再更正(以下「本件再更正」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件第二の決定」という。)の経緯は、別表記載のとおりである。

二  本件更正及び再更正(以下合わせて「本件各更正」という。)は、以下に述べる理由により違法であり、違法な本件各更正を前提としてされた本件第一及び第二の各決定も違法であるから、原告は被告税務署長に対し、本件更正及び第一の決定(以下合わせて「本件更正等処分」という。)並びに本件再更正及び第二の決定(以下合わせて「本件再更正等処分」といい、本件更正等処分及び本件再更正等処分を合わせて「本件各更正等処分」という。)の取消しを求める。

1  原告は、東京高等裁判所昭和四四年(ネ)第二一八三号建物収去土地明渡請求事件につき昭和四七年一月二五日成立した和解により、原告が訴外細野英二(以下「細野」という。)から居住用に賃借していた杉並区方南二丁目四四五番二所在の土地(以下「本件(一)の土地」という。)の賃貸借契約を合意解除し、同土地上の原告所有の建物を収去して同土地を細野に明け渡し、細野から昭和四七年二月末日及び同年七月末日に各二五〇〇万円ずつ合計五〇〇〇万円(以下「本件金員」という。)を受領した(ただし、右金員のうち五〇万円を右建物等の未収去部分の片付費用として差し引かれ、現実に受け取つたのは四九五〇万円である。)。そこで、原告は、本件金員が一時所得に当たるとして前記確定申告をしたところ、被告税務署長は、本件金員は長期譲渡所得であるとして本件各更正をした。

2  しかしながら、本件金員は、右建物収去土地明渡により原告が被つた居住権の侵害、建物収去によつて原告が受ける損害に対する損害賠償金であるから、長期譲渡所得ではない。よつて、本件金員を長期譲渡所得であるとして原告の所得を過大に認定してした本件各更正は違法である。

三1  被告税務署長は、昭和五〇年一一月二七日付で同月二八日原告所有に係る府中市浅間町三丁目一七番一所在の宅地六九〇・九〇平方メートル(以下「本件(二)の土地」という。)について差押え(以下「本件差押え」という。)をし、以後右差押えを継続しているが、右差押えは、以下に述べる理由により違法である。

(一) 本件差押えは、前記の理由により違法な本件各更正等処分に基づいてされたものであるから違法である。

(二) 被告税務署長が原告所有に係る府中市浅間町三丁目一七番一所在家屋番号一七番一の居宅一階一二〇・六六平方メートル、二階四七・一〇平方メートル(以下「本件建物」という。)を差し押えないで本件(二)の土地を差し押えたのは、超過差押えに当たるから、本件差押えは違法である。

2  原告は、違法な本件差押えにより社会的名誉及び経済的信用を失墜させられ、また多大の精神的不安を被つている。右損害は、被告国の公権力の行使に当たる公務員である被告税務署長がその職務を行なうについて原告に加えたものであるから、被告国は、これを賠償する責任がある。

よつて、原告は、被告国に対し、本件差押えがされた日である昭和五〇年一一月二八日から被告税務署長が右差押えを取り消す日まで、一日につき金五〇〇〇円の割合による損害賠償金の支払を求める。

第三被告税務署長の答弁

一  本案前の申立ての理由

1  原告は、本件更正等処分に対して昭和五〇年三月三一日異議申立てをしたが、同年六月一〇日右異議申立てを取り下げた。

また、原告は、本件再更正等処分後の同年九月一日異議申立てをしたが、右異議申立てが本件更正等処分に対するものであるとしても、不服申立期間(国税通則法第七七条)を徒過してされた不適法なものであり、同年一〇月一六日右異議申立てを却下する旨の決定がされた。

よつて、本件更正等処分の取消しを求める訴えは、適法な異議申立てについての決定を経ていないもので、不適法である(国税通則法第一一五条)から、却下されるべきである。

2  本件再更正等処分は、原告の所得税の納付税額及び過少申告加算税額を減少させるものであるから、原告の権利利益を侵害するものではない。したがつて、本件再更正等処分の取消しを求める訴えは、その利益を欠く不適法なものであるから、却下されるべきである。

二  請求原因に対する認否

請求原因一及び二の1の事実は認める。同二の2の主張は争う。

三  被告税務署長の主張

被告税務署長が原告の昭和四七年分の長期譲渡所得を認定した根拠は次のとおりである。

原告は、戦前から引き続き細野から賃借していた本件(一)の土地上に居住用建物を所有することによつて同土地上に借地権を有していたところ、原告主張の裁判上の和解による細野との間の合意により同土地を細野に明け渡し本件金員を受領したのであるから、本件金員は、右借地権消滅の対価と認められ、借地権は、譲渡所得の基因となる資産に当たるから、被告税務署長は、本件金員を譲渡所得の収入金額であると認定した。

そして、同被告は、右収入金額五〇〇〇万円から当該所得の基因となつた資産の取得費二五〇万円(昭和四八年法律第一〇二号による改正前の租税特別措置法第三一条の二により算定)、その資産の譲渡に要した費用二八五万〇一〇〇円(細野との間の合意に基づき本件(一)の土地上の原告所有建物等を収去するに要した費用二三五万〇一〇〇円及び同土地明渡時の右建物等の未収去部分の片付費用五〇万円)及び居住用財産の譲渡所得の特別控除額一〇〇〇万円(租税特別措置法第三五条)をそれぞれ控除し、課税長期譲渡所得金額を三四六四万九九〇〇円と算定したのである。

第四被告国の答弁

一  請求原因に対する認否

請求原因一の事実は認める。同三のうち、被告税務署長が本件差押えをし、以後右差押えを継続していることは認めるが、その主張は争う。

二  被告国の主張

1  請求原因三の1(一)に対して

本件差押えの基因となつた本件更正等処分は、国税の納税義務を確定させることを目的とする国税債権の確定手続であるのに対し、本件差押えは、その確定した納税義務の強制履行を目的とする滞納処分の一環としての手続であつて、被告税務署長のした本件更正等処分と本件差押えとは、それぞれ別個の法律効果を内容とする独立の行政処分であり、仮に本件更正等処分に違法があつたとしても、その違法性は本件差押えに承継されない。

したがつて、本件更正等処分が取り消されずに存続している限り本件差押えが違法となることはない。

2  請求原因三の1(二)に対して

(一) 滞納者の財産のうちいかなる財産を差し押えるかは、徴収職員の自由裁量に任されているところであり、かつ本件差押えに係る財産の選択は、以下に述べるとおり相当である。

(二) 原告は、本件差押え当時、本件(二)の土地及び本件建物の外、府中市浅間町三丁目一五番一三所在の宅地八九・二五平方メートル(以下「本件(三)の土地」という。)及び同所一六番一四所在の宅地九・九一平方メートル(以下「本件(四)の土地」という。)を所有していた。

(三) 右各物件の評価額は、次のとおりであつた。なお、本件(二)及び(三)の各土地上に本件建物が存するところ、土地及びその上にある建物が滞納者の所有に属する場合において、その土地又は建物が滞納処分により換価され、これらの所有者を異にするに至つたときは、その建物につき地上権が設定されたものとみなされる(国税徴収法第一二七条)から、本件(二)及び(三)の各土地の評価額は、その更地価格から使用権価格を控除した額となり、本件建物の評価額は、建物自体の価格に右使用権価格を加算した額となる。

(1) 本件(二)の土地 二〇三一万二四六〇円

(1m3当たりの価格) (面積・m3) (使用権控除割合) (宅地の価格)

73,500円×690.90×(1-0.6)=20,312,460円

(2) 本件(三)の土地 二六二万三九五〇円

(1m3当たりの価格) (面積・m3) (使用権控除割合) (宅地の価格)

73,500円×89.25×(1-0.6)=2,623,950円

(3) 本件(四)の土地

公衆用道路につき評価しない。

(4) 本件建物 三六六六万八八八六円

(建物自体の価格) (宅地使用権の価格) (建物の価格)

2,264,271円+73,500円×780.15×0.6=36,668,886円

(四) 右のとおり本件(三)及び(四)の各土地のみでは原告の滞納税額に満たないものであり、本件差押え当時右滞納税額を上回る物件として徴収職員が知り得たものは、本件(二)の土地及び本件建物しかなく、本件建物よりも本件(二)の土地の方が評価額が低く、また本件建物は原告の居住用財産であることなどを考慮して、本件(二)の土地について本件差押えをしたものである。そして、差押財産が不可分である場合には、その価額が滞納税額を著しく超過していても、他に適当な差押物件がない限り、当該差押えは違法ではない。なお、徴収職員が、原告が昭和五〇年一二月一二日付でした異議申立てに関し、同五一年一月一三日原告宅へ赴き、国税通則法第一〇五条第三項の適用を考慮し、原告に対して担保の提供により差押えを解除できる旨説明したにもかかわらず、原告は、担保の提供はもちろん、他に差し押えることができる適当な財産の提供を拒否した。したがつて、被告国は原告の滞納税額徴収のため差押えを継続しているのである。

第五被告らの答弁に対する原告の認否及び反論

一  原告が本件更正等処分に対して昭和五〇年三月三一日異議申立てをしたが、同年六月一〇日右異議申立てを取り下げたこと及び原告が同年九月一日異議申立てをしたが、同年一〇月一六日右異議申立てを却下する旨の決定がされたことは認める。右取下げは、被告税務署長所部職員から一応異議申立てを取り下げて、嘆願により居住用財産を譲渡した場合の一〇〇〇万円の特別控除を受ければ税金もずつと少なくなると勧誘されて、右嘆願と共にしたものである。これに対して被告のした本件再更正等処分に係る税額は、本件更正等処分と比べてわずかに減少したのみで到底納得できないので、原告は、所定の期間内である昭和五〇年九月一日に異議申立てをしたのである。

二  被告税務署長の主張は争う。本件(一)の土地の賃貸借は、戦前からの口頭契約であり、権利金等の授受もなく、建物がなくなることにより借地権は当然消滅するものであるから、借地権として財産的価値のあるものではない。したがつて、借地権消滅の対価を受領できるものではなく、また原告としてもそのような対価として本件金員を受領する意思はなく、第二の二2に述べたように損害賠償金として受領したものである。

三  被告国の主張1の主張は争う。同2の(一)の主張は争い、(二)の事実は認め、(三)の評価額は不知。なお、本件(四)の土地は、本件(二)及び(三)の各土地に出入りするための私道である。同2の(四)のうち、本件建物が原告の居住用財産であること及び被告国の主張のとおり原告が担保の提供及び他に差し押えることができる適当な財産の提供を拒否したことは認めるが、その余の主張は争う。

第六証拠関係

一  原告

1  甲第一号証を提出

2  乙号各証の成立は認める。丙第四号証の成立は知らない。その余の丙号各証の成立は認める。

二  被告ら

1  被告らは乙第一号証の一ないし五及び第二ないし第四号証を、被告国は丙第一ないし第四号証を提出

2  証人小沢政弘の証言を援用

3  甲第一号証の成立は認める。

三  職権

原告本人を尋問

理由

一  被告税務署長に対する処分の取消しの訴えについて

1  請求原因一の事実並びに原告が本件更正等処分に対して昭和五〇年三月三一日異議申立てをしたが、同年六月一〇日右異議申立てを取り下げたこと及び原告が同年九月一日異議申立てをしたが、同年一〇月一六日右異議申立てを却下する旨の決定がされたことは、当事者間に争いがない。

2  本件更正等処分の取消しの訴えについて

原告は、本件更正等処分に対してした異議申立てを取り下げたのは、被告税務署長所部職員から嘆願により一〇〇〇万円の特別控除を受ければ税金もずつと少なくなると勧誘されてしたものであると主張する。

成立に争いのない乙第一号証の一ないし五、第二号証及び第三号証、証人小沢政弘の証言並びに原告本人尋問の結果を合わせると、次の事実を認めることができる。

被告税務署長所部職員小沢政弘は、原告の本件更正等処分に対する異議申立て、の審理の際昭和五〇年六月三日及び一〇日の二回出頭した原告と面会し、原告が本件金員は一時所得であると主張するのに対し、譲渡所得に当たる旨を説明し、その結果譲渡所得に当たることを前提として原告が持参した領収証等の書類に基づいて、原告と共に資産の譲渡に要した費用を算出したところ、本件更正において譲渡費用として五九八万一四二七円が過大に計上されていたことが判明した。その際小沢は、長期譲渡所得であれば原告の場合、本件更正で認容した特別控除額一〇〇万円の代わりに居住用財産の譲渡所得の特別控除として一〇〇〇万円が認められることを原告に説明した。これに対し原告は、右特別控除を受けることを申し出たので、小沢は、原告から同月一〇日付で右特別控除を受けたい旨の嘆願書の提出を受け、合わせて、譲渡所得として右特別控除を受ける以上異議申立てを維持する必要がない旨を説明し、原告から同日付で異議申立ての取下書の提出を受けた。そして被告税務署長は、本件更正に係る課税長期譲渡所得金額に前記五九八万一四二七円を加算し、前記特別控除の差額九〇〇万円を減算して本件再更正をした。

以上の事実を認めることができる。原告本人尋問の結果中には、小沢から一〇〇〇万円の特別控除を受けるならば税金はずつと安くなると言われた旨の供述があるが、右供述は証人小沢政弘の証言と対比し措信し難い。他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

右認定の事実によれば、小沢の説明を受けた原告は、その自由な意思により本件更正等処分に対する異議申立てを取り下げたものと認められ、税務職員による欺罔、原告の錯誤その他原告の右取下げの意思に瑕疵があつたものとは認められないから、原告が昭和五〇年三月三一日にした異議申立ては、同年六月一〇日有効に取り下げられたものと認められる。

また、原告が昭和五〇年九月一日異議申立てをしたこと前記のとおりであるが、これが本件更正等処分に対するものであつたとしても、不服申立ては処分があつたことを知つた日の翌日から起算して二か月以内にしなければならない(国税通則法第七七条第一項)ところ、原告は既にいつたん同年三月三一日本件更正等処分に対して異議申立てをしているから、遅くとも同日には本件更正等処分があつたことを知つていたものと認められるので、原告が同年九月一日した異議申立ては、不服申立期間を徒過した不適法なものであり、同年一〇月一六日右異議申立てを却下する旨の決定がされたことも前記のとおりである。

したがつて、本件更正等処分の取消しを求める訴えは、適法な異議申立てについての決定を経ていないものであり、訴え提起の要件を欠くから不適法である。

3  本件再更正等処分の取消しの訴えについて

本件再更正等処分は、本件更正等処分により原告が納付すべきものとされた所得税額及び過少申告加算税額を減少させるものであり、本件更正等処分のうち右減額される部分を取り消す効力のみを有する原告に利益な処分であるから、本件再更正等処分の取消しを求める訴えは、訴えの利益を欠き不適法である。

二  被告国に対する損害賠償請求について

1  請求原因一の事実及び被告税務署長が本件差押えをし、以後右差押えを継続していることは、当事者間に争いがない。

2  原告は、本件差押えは違法な本件各更正等処分に基づいてされたものであるから違法であると主張する。

しかしながら、課税処分は、租税債権を確定させることを目的とする処分であるのに対し、滞納処分は、確定した租税債権の強制的な実現を目的とする処分であつて、両者はそれぞれ別個の法律効果の発生を目的とする別個独立の処分であるから、課税処分の違法は、滞納処分に承継されないと解すべきである。したがつて、原告の右主張は主張自体失当である。

3  次に、原告は、被告税務署長が本件建物を差し押えないで本件(二)の土地を差し押えたのは超過差押えに当たるから、本件差押えは違法であると主張する。

しかしながら、滞納者の所有に属する財産のうちいかなる財産を差し押えるかは、徴収職員の合理的裁量に委ねられているものというべく、土地及びその上にある建物が滞納者の所有に属する場合において、その土地の差押えがあり、その換価によりこれらの所有者を異にするに至つたときは、その建物につき地上権が設定されたものとみなされる(国税徴収法第一二七条)から、本件建物が原告の居住用財産であること(このことは当事者間に争いがない。)を考慮すれば、被告税務署長が本件建物でなく本件(二)の土地を差し押えたことをもつて違法ということはできない。

また、差押財産が一筆の土地等一個の不動産である場合には、当該差押財産の評価額が滞納者の滞納税額を超過しているとしても、その一事をもつて当該差押えを違法ということはできない。したがつて、原告の右主張は理由がない。

4  以上のとおり、本件差押えには原告主張の違法はなく、また、徴収職員が原告の昭和五〇年一二月一二日付異議申立てに関し同五一年一月一三日原告宅へ赴き原告に対して担保の提供により差押えを解除できる旨説明したのにかかわらず、原告が担保の提供及び他に差し押えることができる適当な財産の提供を拒否したこと当事者間に争いがないから、被告税務署長が本件差押えの取消しないし解除をせず、本件差押えを継続していることをもつて違法ということはできない。

したがつて、その余の点について判断するまでもなく、原告の被告国に対する損害賠償請求は理由がない。

三  結論

よつて、原告の被告税務署長に対する訴えはいずれも不適法であるからこれを却下し、原告の被告国に対する請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 三好達 裁判官 菅原晴郎 裁判官 成瀬正己)

別表

<省略>

(注) △印は還付金を示す。

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